稽古ノート 155  ― Simultaneous kick & punch 3

JUGEMテーマ:空手道

 

 日に日に、空手や拳法の動きが、自分の肉体・精神・魂の状態とマッチしなくなってきた。どうやら、空手拳法の修行者として、情報発信をするのは、これで最後になりそうだ。もっと色々書きたい事はあったが、その任は若い世代に委ねたい。

 

 

 型稽古を終えた後、特殊な器具を使う十字受けの実戦的な稽古に移った。

 

 前回稽古した時、Tさんが、

 

 「これ、かなり痛いですね。」

 

と仰ったので、気泡緩衝材を詰め足して些か柔らかくしたが、ま、こんなもん気休めにしか過ぎない。脱力して使えば、重さが浸透するからである。

 

 痛みの問題はともかく、やってみたら、Tさんの十字受けの形は、メチャクチャに崩れてしまう。前回の稽古からも、あまり進歩は見られない。どうやら、この稽古法は、Tさんには時期尚早だったようだ。代わりに、A君に手本を見せてもらう。

 

 さすがに5年間古式をやっただけあって、どんなにフェイントをかけても、どんなに素早く打っても、A君は型を見ているようにキレイな動きで私の攻撃を受ける。こういう事例を見ると、型、特にナイハンチの重要性を再認識させられる。ナイハンチで、キチンと腰を作っているからこそ、実戦的な動きをしても、型が崩れないのだ。

 

 型が崩れなければ、どんなにフェイントをかけられても、全て相手の攻撃は自然に「受かる」ようになっているのである。

 

 というわけで、Tさんには、次回から前段階に戻って十字受けを稽古してもらう事にした。

 

 

 最後に、蹴りと突きの同時使用の技を稽古した。蹴りと突きを同時に使用すると言っても、やり方は一つではない。二つある。同じ側の手足で当時に攻撃する場合と反対側の手足で攻撃する場合である。

 

 もっと分かり易く言うと、右足で蹴る時に右腕で同時に突くか、それとも左足で蹴る時に右腕で同時に突くかというのが、この二つの技術の違いである。

 

 反対側の手足を使用する方法は、今回のテーマではないので、いつかまたの機会に詳述するとしてと言いたいところだが、残念ながら、もう「またの機会」はない。

 

 せっかくだから、触りだけを少し述べさせてもらって、同じ側の手足での同時攻撃に話を戻したい。反対側の手足を使う稽古をする時は、前後の歩幅を短めにとって、駆けっこをする格好で腕を振り、適当なところで前足の膝を高く引き上げながら、前足と反対側の腕でポータブル巻き藁なり、パンチングミットを突くのである。

 

 膝を上げながら、反対側の腕で突く事に慣れれば、足を延ばして蹴る事はすぐにできるようになる。色々工夫して稽古に励んで頂きたい。

 

 さて、本題に戻ろう。同じ側の手足を使って、攻撃するのは結構難しい。反対側の手足を同時に出すのは、我々が普段歩いたり、走ったりするときと同じ動作なので、少し慣れればそれほど難しくはない。

 

 そこで、役に立つのが、ナンバ歩きのように同じ側の手足を同時に出しながら行う歩法である。八卦掌の基本稽古の中に、そういう訓練法がある。ヤクザが仁義を切る時の「お控えなすって」と同じような格好をして前に進むのである。

 

 今回の稽古では、これを教えずにいきなり使用法に入ったので、二人とも些かやりにくそうだった。次回の稽古では、これを導入したい。

 

 具体的にどんな使用法を指導したかと言うと、ナイハンチの形で、相手の突きを抑え込んで裏拳で相手の顔面を突きながら、前蹴りを相手の腹部か足に向かって放つという形を指導したのである。この形は、Ryan ParkerがYouTubeで公開しているので、ご覧になった方も多いだろう。

 

 だが、あの形は、実際にやってみるとかなり窮屈で、自分より長身の相手にはかなり使いにくい。我々の動きには和道流が入っているので、結果的に、相手の外側に少しずれた位置から、相手の突きを抑え込んで、裏拳で顔面を突くのと同時に相手の前足の膝を斧刃脚で蹴る形になった。

 

 ワンシューやピンアン四段の形なら、前蹴りも使えただろう。と言うか、これは間違いなく使える。小林流や和道流の稽古をしていた時に、私は何度もやった事があるからだ。次回は、こっちも試してみたい。

 

 

 というわけで、2014年4月25日から書き始めたこの「稽古ノート」も、これにて最終回となってしまった。色々至らない所も多々あったであろうこのシリーズを最後まで呼んで下さった読者の皆様方には、心より感謝したい。

 

 私が武道に関する記事を再び書くことがあるとすれば、それは、別の形の武道を習得するか、或いはそれを創り上げた後の事になると思う。クンダリニー覚醒者のための既成の武道がこの世のどこかに存在しているとすれば、そしてそれを指導してくれる師に巡り合う幸運に恵まれれば、その人の下で修行に励み、些か大袈裟かもしれないが世界平和のために貢献したいと考えている。それが、もし叶わないのなら、試行錯誤して自分で新たな武道を創り上げるしかない。

 

 幼い頃から、深刻なイジメ被害に遭い、恨みを内側に溜め込んで生きて来た。空手を始めたのは、正直言って、仕返しするためである。有段者になって、自分をイジメた奴らを呼び出して、ボコボコにしてやるつもりだった。だが、いざ本物の武術を身に着けてしまうと、もうそれを使用することは出来なくなってしまった。使用してしまえば、人を身体障碍者にしてしまうか殺してしまうからである。いくら他人に対する恨みが深くても、犯罪者になったり、刑務所で一生を過ごしたりはしたくなかった。

 

 そうなった時、「一体自分は、何のために苦労して武術を修行して来たのか?」という虚無感に襲われると同時に、単なるケンカの道具としての空手ではなく、人生の、自然の、そして宇宙の奥深さを見せてくれる空手や拳法に深く魅かれるようになっていった。もちろん、いきなりそんな崇高な境地に至ったわけではない。

 

 相変わらず、血の気は多かったし、ケンカに巻き込まれて死にかけたこともある。逆に、そういう怖い経験をしたからこそ、調和の世界に強い憧れを抱くようになったのかもしれない。

 

 誰かが、何かの本の中で、

 

 「何事も中途半端に終わらせず、極限までやれば、必ず何かが見えてくる。」

 

と書いていた。本のタイトルも、著者の名前も忘れてしまったが、彼の言う通りだと思う。もしかしたら、私の生き方は、間違っていたのかも知れない。だが、私は、このようにしか生きて来れなかったし、これからも自分の生き方を変えるつもりはない。

 

 波瀾万丈の人生だったが、少なくとも、退屈だけはしない人生だった。その事だけは、天に感謝している。

 

 

 Good luck with your martial arts training !

 

 Let's meet again if we have a chance !

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2985

 


稽古ノート 154  ― Simultaneous kick & punch 2

JUGEMテーマ:空手道

 

 突きと蹴りの同時使用技は、後でやることにして、いつものように型の稽古から入った。

 

 最近、三戦を稽古し始めたTさんをA君が指導する。やはり、回し受けが難しいようだ。他の流派と違い、我が流派では下への回し受けは、金的をカバーするように使うので些か窮屈かもしれない。Tさんの回し受けは、他の剛柔流の回し受けのように下方への回し受けが、鳩尾の上をカバーするような軌道を描く。これが、間違っているというわけではない。回し受けを両手突きへの防御と考えるのなら、或いは、ある種の投げ技や関節技として解釈するなら、これでもOKである。

 

 ただ、うちは金的へ向かって飛んで来る前蹴りや斜め蹴りへの防御やそこからの投げ技を考慮して回し受けを行うようにしているので、金的をカバーするような形で回し受けを行う。この回し受けは、YouTubeなどの動画でも、あまり見かけない。一心流が金的をカバーする廻し受けをやっているようだが、我々はあれを狐拳で行う。

 

 サンチンの稽古でもう一つ難しいのが、歩法である。上半身の形に気を取られていると、つい足の形がデタラメになってしまうのである。昔は、サンチンガーミを持ってサンチンの歩きだけを3年くらいみっちりやらされたもんである。今は、こんな教え方をしたら、誰もついて来なくなるが、こういう指導の仕方は、一見意地悪なようで、ある意味では合理的かもしれない。無意識にあの歩法ができるようになっていれば、サンチンを学び始めた時、上半身の形だけに集中できるからである。

 

 

 サンチンの稽古が一段落ついたので、武器術の稽古に入った。Tさんは、武器術を優先的に指導する最初の実験台である。3年ほど前から指導を始めたNさんにも、そういう方針で指導を始めたが、Nさんが素手の格闘技の方によりご興味をお持ちだと分かったので、方針を変更したからである。

 

 A君とTさんの型を個別に指導した後に、お互いに向かい合って、表と裏の型を演じる「型の鏡稽古」を行った。こうすることで、稽古仲間同士の呼吸を合わせることができるし(呼吸が合っていないと、組み手の時にケガが多くなる)、何より上級者の動きに初心者がつられて動くので、ヘタに口で指導するよりも遥かに効果があるのだ。

 

 この稽古法は、他にも色々なメリットがある。何度やっても、新たな発見をする実に面白い稽古法である。興味のある方は、一度試してみられる事をお勧めする。(続く)

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2984


稽古ノート 153  ― Simultaneous kick & punch 1

JUGEMテーマ:空手道

 

 久しぶりの稽古ノートの更新である。もはや、稽古内容を「文字」にする意味は無くなってしまったので、今回の記事で最後になるかも知れない。Find us if you can ! (^_-)  それは、それとして、日曜に、A君、Tさん、そして私の三人で合同稽古をした。稽古場所であるいつもの公園に行くと、A君が前蹴りと正拳突きを同時にやる動きをしていた。以前に、サイドキックと裏拳打ちを同時にやる技術を指導した事はあったが、これを教えた記憶がなかったので、

 

 「あれ?それ教えた事があるかいな?」

 

と彼に尋ねると、

 

 「(動画で)空手の型の中にこの動きがあるのを見ました。」

 

との答え。多分、A君は、ワンシューかピンアン四段の動きを見て、この動きをやりたくなったのだろう。

 

 これを見て、久しぶりに稽古ノートを更新する気になったが、よく考えたら、蹴りと突きを同時に出す技術の特別な名称がない。私が知らないだけかもしれないが、ネットで調べても出て来ないので無いのだろう。ご存知の方がいらっしゃれば、教えて頂けるとありがたい。同様の事は、受けと蹴りを同時に出す技術についても言える。こちらに関しても、殊更な呼び名は無いように思う。少なくとも、私は耳にした事がない。

 

 受けと蹴りを同時に出す技術をこのブログの以前の共同執筆者である翔君が、小林流の道場で組み手稽古の際に使ったところ、誰も彼の蹴りを防御する事はできなかったそうである。

 

 突きと蹴りの同時使用技術も、組み手で使われたら、現在のスポーツ空手の技術では防ぐことは困難かも知れない。こういう技術があるから、回し受けのよう防御技術が型の中に残っているのだが、組み手競技がすっかりスポーツ化してしまった現代においては、こういう動きは、もはや無用の長物になってしまった。せいぜい、型試合の中で使用されるのみである。(続く)

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2981


稽古ノート 152  ― 股関節の亜脱臼

JUGEMテーマ:空手道

 

 先週の土曜日に、A君、Tさん、それに私の三人で稽古した。稽古の初めに、慢性的な亜脱臼状態にあるA君の左股関節を整復した。A君は、少年時代に右足を事故で骨折して、それを庇って生活しているうちに左の股関節に無理をかけてしまったために亜脱臼を引き起こしてしまったのだ。

 

 かく言う、私自身も歪んだ体のままで、陸上や器械体操などを激しく練習したために、左の股関節が亜脱臼状態になっていた。足が亜脱臼状態になっているかどうかは、整体の被施術者を俯せにさせて両足を持ち上げて静かに床に置きか踵の位置を比べるとすぐに分かる。亜脱臼状態になっていれば、どちらかの足が長くなっているからである。(両脚とも股関節が亜脱臼状態になっている人は、まだ見た事がない。)

 

 この事を教えてくれたのは、剛柔流空手の師匠だった故上原優希徳先生である。先生は、私の左足が長くなっている事をご指摘になった後、稽古に出向くたびに私の股関節を整復して下さった。先生の整復方法は、勁を使う非常に特殊なものだった。

 

 この日は、Tさんにやり方を覚えてもらうために、A君の股関節を整復してもらった。Tさんご自身も2,3か月前には片方の股関節が亜脱臼状態になり、何度か整復を施さねばならなかった。

 

 Tさんの場合は、パワーリストをつけて足先を飛ばすような前蹴りの稽古をやり過ぎた事が原因だった。股関節が緩んでしまったために、長時間胡坐をかくと両足が痺れるようになってしまったのだ。

 

 これは、私の指導の誤りである。足先が飛んでいくような蹴りをマスターし、蹴り脚を「当てる」のではなく、蹴り脚が目標物に「当たる」ようになった時点で、蹴り方を変えるように指導するべきだった。

 

 どう蹴り方を変えるかと言うと、脚が伸びきらないように軽く蹴るようにするのである。サンドバッグやキックミットなどの目標物があって蹴る場合は、脚を思いっきり放り投げるように蹴っても構わないが、空蹴りでこの蹴り方を長期間やるのは、あまり好ましくない。上記のように、股関節の亜脱臼を惹起してしまうからである。幸いTさんは、股関節を整復し、蹴り方を変えたおかげで、その後症状は全く出なくなった。

 

 参考にして頂ければ、幸甚である。 

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2956


稽古ノート 151  ― 楊家太極拳24式

JUGEMテーマ:空手道

 

 Nさんのギックリ腰のリハビリ手段として教え始めた楊式太極拳24式も、約二ヶ月半で左右攬雀尾まで辿り着いた。

 

 昔、老師が、

 

 「24式の動きだけで、充分戦うことができる。」

 

と仰っていた。確かに老師の仰る通りである。足腰と筋が出来てさえいれば、24式の動きをマスターするだけでかなりの戦闘力を身に着ける事ができる。もっとも、現在では24式の太極拳は、健康体操だと思われているようだが・・・・・・

 

 太極拳のユックリとした動作は、「慢練」と呼ばれている。空手のような速い動きは、「快練」である。以前、別の記事でも述べたが、慢練だと崩れかけているフォームの矯正が容易になり、なおかつ速い動きよりも丹田を練り上げやすい。

 

 また、慢練には、「気に浮いた水を両手で下に沈めるように」とか「大きなボールを抱えて運ぶように」などというイメージトレーニングをやり易いというメリットもある。実戦で敵と戦っている最中に、こういうイメージで動く余裕などないので、1人稽古の時に、慢練で充分に練っておく必要がある。

 

 以上の三つが、慢錬を行う利点である。

 

 

 本日の稽古で見えたNさんの課題は、二つだった。

 

 一つは、ある動きから次の動きへの繋ぎが、まだ上手にできない事である。ここが、太極拳の踊りの難しいところである。全く別の動きをあたかも一つの動きであるかのように動かねばならない。これは、空手の型にも言えることだが、相手が一人だと想定した場合は、本来一つの踊りで決着がついているはずなので、そこからまた別の動きをする意味はあまり見出せない。しかし、相手が多人数だと仮定すると、太極拳の流れるような動きにも意味を見出せる。

 

 上記の事をNさんにご説明申し上げ、繋ぎをスムーズに行うよう指導した。

 

 二つ目の問題は、動作が手打ちになってしまっていることである。そこで、私はNさんが踊ってらっしゃる最中にNさんの手首を両手で掴んだ。Nさんの腕の動きはピタッと止まった。そこで、

 

 「私の体を引っ張ってみて下さい。」

 

と指示した。すると、Nさんは、体全体で踊り始め、見事に私の体を引っ張り始めた。人の体を引きずれると言う事は、Nさんが体全体で踊り始めたということである。

 

 人を引きずる事のできないような太極拳の踊りでは、空手の蹴りや突きを捌くことはできない。武術としての太極拳を修行してらっしゃる方は、この事を肝に銘じられるべきである。

 

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2947


稽古ノート 150  ― 関節蹴り返し

JUGEMテーマ:空手道

 

 今日は、いつもの公園でA君との稽古だった。まだ、肌寒さは続いているが、日が照っているので、風があまり吹いていない所に行くとかなり暖かかった。

 

 周氏の棍(小)の表と裏の型から稽古した。A君は、最近かなり腰が出来てきたので、もうほとんど私が修正するべきところがない。動きの修正と言う事に関して言えば、師匠の役割は、弟子の腰ができるまで型から外れた動きを正しい位置や動作に戻す事だけである。弟子の腰が出来てくれば、型の修正者としての役割は、終わりに近づく。

 

 本人は、そう思っていないようだが、A君は、既に老師の領域に入りつつあるようだ。

 

 さて、話を棒術の事に戻したい。周氏の棍の稽古を終え。今日は、久しぶりに棒術の関節技の稽古をした。まず、土台からの動きの関節技である。この技を稽古する利点は、足腰から動きを容易く学べる点である。棒術の関節技そのものの上達と共に、素手での動きの基礎を作る事ができる。

 

 次に、先端(=指先)からの関節技を指導した。これは、大東流合気柔術の中にも存在している指先からの動きが入っているので、ときどき意図せずして、スクミが相手のかかってしまうことがある面白い動きである。

 

 

 棒術の稽古を終え、前々回の組手稽古の際に、彼が何度も私の関節蹴りを食らったので、今回は、その返し技を指導した。これは、あまり前足に体重が掛からないようにして、斜め前に出て相手の関節蹴りを誘い、相手が自分の膝を蹴って来たら、それをよけながら外回し蹴り(擺連脚)や掛け蹴りを返す技である。相手を煽りたければ、外回し蹴りが、その場で技を決めたければ、掛け蹴りが有効である。

 

 ただ、この返し技も、相手が先の先を読んで動けば、技が未発のまま、やはり関節蹴りで抑え込まれてしまう。要は、タイミングの問題である。

 

 

 最後に両襟取りと帯を使用した合気技を少し練習して、本日の稽古を終えた。

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2934


稽古ノート 149  ― 上段流し突き

JUGEMテーマ:空手道

 

 棒術の斜め突きは、相手が突いて来た時に、横に動いて斜めから相手の上段を突く技である。最初は、正眼の構えからの斜め突きを指導していたが、Tさんが、

 

 「斜めに移動して突くのが、難しいですね。」

 

と仰ったので、正眼の構えからではなく、下段構えから突いてもらうことにした。

 

 下段に構える事の利点は二つある。まず、こう構えることにより、斜め突きがやりやすくなることが一つである。次に、相手の上段突きを誘いやすくなることである。これは、相手が正眼に構えていれば突きにくい事を考えてもらえれば、ご理解頂けると思う。

 

 いつものように、これも空手に翻訳して稽古した。棒術の斜め突きは、空手で言えば上段流し突きにあたる。素手でやる場合は、正眼の構えからでも、上段流し突きをやるのは、それほど難しくはないが、下段の構えからやってもいい。下段に構えると、相手が入って来やすくなるし、突きが下から相手の顔面に入って行くので、相手から見えにくくなるという利点もある。

 

 ここで、斜めから入る攻撃をまとめて復習してもらった。斜めから入る前蹴り・斜めから入る中段突き・斜めから入る上段突きの三つである。

 

 ここまで指導した後、この日の稽古をよほど面白く感じられたのか、Tさんが、

 

 「先生は、これを文字に起こされないんですか?(古式武道は)やればやるほど、奥深く面白いので、これがこのまま消えて行くのは、勿体ないかなと。」

 

と仰った。そうかもしれない。それで、こうしてブログに書いているわけだが、文字にすることに一体どれほどの意味があるのかといつも迷いながら書いている。

 

 素人や初心者が私のブログをお読みになっても、経験がないからまず理解はできないだろうし、玄人の方は、既にご存知の事なので、このブログをお読みになる必要はあまりないように思う。役に立つとすれば、ある程度武道経験があり、まだ発展途上にある二段から四段程度の修行者の方々にだけかもしれない。

 

 それに、文字で伝えられる事には限界がある。動画があれば、話は別だが。と、ここまで話して、どうせ空手の世界から身を引くのなら、最後に動画を残してもいいかなと考え始めた。Tさんに頼んで、動画をYouTubeなどにアップできないかどうか調べてもらうことにした。

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2928


稽古ノート 148  ― 素直さ

JUGEMテーマ:空手道

 

 今日の午後は、いつもの公園で来週から出張なさるTさんとの稽古だった。3週間ほどお会いする事ができないので、覚えておいて欲しい事を教えておかねばならなかった。

 

 本日は、ご本人のご希望で2時間しか稽古できないので、受け身の稽古を省き、合気技もトンファーを使った動きを立ち技で二つだけやり、早速武器術の稽古に移行した。

 

 まずは、トンファーの基本と型である。基本の方は、様になって来た。ただ、型の中の振りがややブレ気味なのと小さすぎるのが難点である。その点を指摘し、もう一度型をやってもらった。素直な性格のTさんは、すぐに私が指摘した点を改めて演武なさった。以前、やたらに我の強いアメリカ人に教えた時は、かなりてこずった。こちらがいくら注意しても、彼は、自分の理屈ばかり主張して、素直に改めてくれなかったからである。人間、素直さが肝心である。

 

 オッと、話が逸れてしまった。話をTさんのトンファー型の事に戻す。型の動きはまだ完璧とは言い難いが、これは腰や丹田部分の筋肉が内部化していくことで自然に解消されていくだろう。まあ、これは、他の全ての事についても同じことが言えるが・・・・・・

 

 トンファーの稽古が終わり、棒術の稽古に移行した。上段突き・送り突き・体捌きなどの基本から、周氏の棍(小)を稽古する。周氏の棍は、かなり様になって来たので、二、三の小さな欠点を指摘するだけで済んだ。

 

 棒術の関節技を二つほどやった後で、斜め突きの指導をした。(つづく)

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2920


稽古ノート 147  ― 腰の回り

JUGEMテーマ:空手道

 

 今日の午前中、いつもの公園でA君と稽古をした。雲一つないいい天気で、昨日までの厳しい寒さがウソのように暖かかった。

 

 空手・拳法の練習を始める前に、レジャーシートの上で合気技の研究と稽古をした。

 

 まず、トンファーを使った両手合気上げと引き落としからの返し投げをやる。どちらも、トンファーの基本技と船漕ぎ運動とが合体した動きから生まれた技である。

 

 それから、大東流合気柔術の固め技を練習した。こちらは、まだ研究の段階にあるが、動きを急に止めることにより、相手の動きを固める事ができるようになった。棒術の関節技などをかけていると、意図せずして相手にスクミがかかることがあるので、これも琉球古武道の動きを使って、我々の形にしてしまう事が可能だろう。その後は、離れた状態からでもスクミをかける事ができれば、ベストである。

 

 その後は、両襟取りや柏手の応用としての合気技、足合気などを稽古し、最後に成田新十郎先生の「腰の回り」を研究した。今朝、私が夢の中で見た技をそのまま試したのである。(「?夢 111  ― 腰の回り」http://http://koshiki.jugem.jp/?eid=2911)A君に両手で私の片腕を捻り上げてもらい、その力をそのまま丹田を通じて地面に流した。A君は、私の腕を捻り上げる事はできず、捻ろうと力を入れれば入れるほど、体勢を崩した。

 

 同じことを今度は、私が彼の片腕を両手で握ってやってみた。今度は、私が姿勢を崩した。

 

 柔術の両襟取りからの投げ技を教えようと、両手でA君の両襟を持ち上げると、彼は、両手を私の腕にかけて、成田先生流の「腰の回り」を使った。両腕に力を入れれば入れるほど、私の腰が砕けていく。どうも、この技(ギ)は、形とはあまり関係がないようである。同じことを今度は、私がやってみた。結果は、同じだった。

 

 もちろん、我々は、あらゆるパターンに対応して「腰の回り」を使う事も、離れた状態で使う事もまだできないが、原理的な事が分かったので、一歩研究を進める事が出来たと言えよう。

 

 こちらの「技」にしても、そのまま成田先生の動きを猿真似するのではなく、空手・拳法や琉球古武道の形の中に取り込んでいかねばならない。自分たちで研究する分には、他流の動きをそのまま稽古していても構わないとは思うが、対外的に自流の技を公開する場合に、それをやると「著作権の侵害」になってしまうからである。小野派一刀流や鹿島神道流は、その流派名がキチンと商標登録されている。いずれ、キチンとした古式武道の流派名は、全て商標登録される時代がやって来るだろう。

 

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2916

 


稽古ノート 146  ― 武道即人生

JUGEMテーマ:空手道

 

 ギックリ腰から完全に回復なさっていなNさんのために、整体の施術をし、軽く太極拳の套路を練習して本日の稽古を終えた。

 

 それから、近くあるスタバに行って、お茶を飲みながら、二人で色々な事を話した。現在、ちょっとしたトラブルを抱えていらっしゃるNさんは、次のようにお尋ねになった。

 

 「敵対的な人間関係の中でも、合気技の原理を応用できますか?」

 

 これは、もちろん可能である。だが、それほど簡単でもない。

 

 合気技の理想は、実戦に置いても、実人生においても、敵も傷つけず、自らも傷つかず、共に生成発展していくと言う事だと言える。確かに、それが理想だが、それを現実世界で実践するのは、至難の業である。

 

 敵の攻撃を受け流して、回すためには、まず敵の間を制し、呼吸を取る必要がある。これが、難しい。大抵は、上手く間が取れず、敵の呼吸とリズムに巻き込まれて、戦い方が動物的なレベルに堕してしまうからである。実人生においても、同様である。敵意満々の相手と無理に調和しようとしても、相手は、そうはさせてくれない。

 

 実戦や実人生などの現実世界で、これを実践するには、まず気合術の原理を身に着けておかねばならない。気合術とは、放任法・転気法・挫折法・利用法・誘念法などである。

 

 人間の心の法則性を上手に利用して、機先を制する術が気合術である。心の技術ともいうべき気合術に習熟すれば、容易く敵の間を制し、呼吸を取ることが出来る。

 

 一旦、敵の間を制し、呼吸が取れれば、敢えて敵を追い詰めて、二度と立ち上がれなくなるまで叩き潰してしまう必要はない。叩き潰せるかもしれないが、それをやると恨みを残すことになる。人間でも、動物でも、徹底的に追い詰めるものではない。そういう意味では、合気道や合気柔術の思想には、素晴らしいものがあると言える。

 

 ただ、それを何の手続きも経ずに、直接、実戦や実人生に持ち込むことは、現実的に不可能だと言うことである。

 

 参考にして頂ければ、幸甚である。

 

 

 

※この記事のURL: http://koshiki.jugem.jp/?eid=2898

 

 

 

 

 

 


profile
calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
free counters
sponsored links
links
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM